after glow
編集後記(19)




 何と言ったらいいのか、うまく言葉が出てこないのですが----。
 「ご無沙汰しています」「お待たせしました」「お元気ですか」……いや。
 ----ありがとう、かな。
 今まさにこの瞬間、この一文を読んで下さっている貴方は、ここ数ヶ月の間、間違いなく僕を支え、救ってくれた大切な一人に他なりません。だからどんな言葉よりも、まずはこの場を借りて心からの謝辞を----ありがとうございます。

 数えてみれば、前号から実に4ヶ月という時間が経過しました。
 激しく迷い、悩み揺れ、疲労と消耗と自失をのべつまくなしに繰り返した4ヶ月でした。ぶよぶよにふやけて水膨れした脳味噌が、頭蓋骨を内から圧迫しているような、そんな徒労感に24時間昼夜を分かたず苛まされていました。
 時折、ご心配いただき電話や手紙、メールを下さった方もいらっしゃいました。でも、その一つ一つの声や言葉が、まるで谷をひとつ隔てた向こう側の山から、ぼわーんと響いているようなそんな感じで、僕はそれに応える声を、うまく出すことができずにいました。
 お返事もせずに過ぎてしまった方々には、改めてお詫びいたします。申し訳ありません。

 さて----。4ヶ月ぶりのテルマ、いかがだったでしょうか。
 実はこの間、テルマの方向性についても、随分と悩みました。「自分のリハビリやトレーニングのために出しているのなら、そんな本は意味がない」との指摘を受けたことがありました。それはすなわち、投稿欄にもあるように、コンセプト・メッセージ・テーマというものが曖昧----というか「不在」になってしまったということなのでしょう。「何だかよくわからない本」になっちゃった。
 じゃあどうすればいいのか----この疑問と解答は「メビウスの環」で、永久に終わることなく、ぐるぐると回り続けます。思えば創刊以来ずうっとこの命題を繰り返している気さえします。
 結局のところ、僕は自分自身が何者なのか未だにさっぱりわかっておらず、そのわかっていない有り様が、この本にはそのまま顕れているのでしょう。

 最後に、身辺報告を少しばかり。
 今いるフィールドに、もうちょっと立ち続けてみようかなと、最近少しそんな風に思ったりしています。
 それが果たして、現状から「逃げ出さない」ということに本当になっているのか、それとも単に、現状に「甘んじている」だけに過ぎないのか----それすらも今の僕にはわからないのですが。

(2004年11月11日発行『TALEMARKET vol.19』より)



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