after glow
編集後記05








 まずは5月号のお届けがこんなに遅れてしまったことを、お詫びします。ゴメンナサイ。
 書けませんでした。まったくもって。
 今、こうして編集後記の原稿に向かいながら、「何を書こうか」と考え込んでしまっている始末。
 これは、かなりの重症です。(これまでだったら、思いの丈が溢れに溢れて、10分くらいで書き上げていました)
 もともと僕は、何というか非常に他人本位な人間で、「自分」というものが、本当にないのです。
 僕自身が嬉しかったり心地よかったりすることよりも、相手、つまり他人が喜んでくれることに、本能的な「快感」を覚える類の人間らしく、だから自分の喜びの基軸というものが、いまだによくわからない。(先日ある人から「生粋のマゾですね」と言われましたが、案外そうなのかも)
 まあ、芸者家業ともいえるこの仕事においては、もしかしたら良い素質なのかもしれませんが、今回ばかりはこの性癖が悪い方、悪い方へと出てしまった気がします。
色んな人の色んな嗜好を考え過ぎて、知らず知らず無意識のうちに、そこに寄り添おうとしていたようです。
 100人に訴えようと書いた言葉や文章は、結局はただの1人にも引っかからない。
 でも、たった1人のために送り出された言葉は、きっと、いや、間違いなく、100人の心を打つ------。
 僕はそう思っています。
 改めて今、そう思うようにしています。

(2003年5月1日発行「TALEMARKET vol.5」編集後記より)



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